今年のスターバックスは、どうやらアド業界に力を入れているようだ。平たく言えば、雑誌を中心としたメディアに拠る広告媒体を積極的に活用しているように思う。
なぜなら、最近私の周りでよく「昨日テレビでスタバの特集してたよ」と耳にするし、いくつかの雑誌でも特集していたりする。本屋の雑誌コーナーでぱっと目に付くものをいくつか取り上げれば、たいがい見つかる。また、各店舗にもフリーペーパー・フライヤー・プチパンフレット的なものが置いてあったりする。クリスマスシーズンには、プロモーション活動の一環として、「STARBUCKS PRESS」なるものまで店舗で配られているようだ。
しかし、それらの内容・デザイン・レイアウトを見ると、どうもいまひとつな感じに思える。もちろん全ての雑誌をチェックしたわけではないし、テレビも実は一つも見ていないし、私は出版印刷のプロではないので、ここはあくまで一個人の意見なのだが、私が目にした範囲での広告媒体に関して言えば、どうもピンとこない。
つまり、スターバックスのブランドイメージと心理的な矛盾があるのだ。
これは批判ではなく、ビジネスプランに対して、広報分野に対する建設的な示唆と解釈してほしい。私はスターバックスが好きだから、働いているのだし、当然その成果としての成長も望んでいる。
それを前提にしたうえで、昨今の広報分野における方向性は、これまでスターバックスが10年近くにわたって築き上げてきた「ブランド」というものを自ら崩しているようにすら思える。各メディアの構成内容について細かくは言及しないが、少なくとも今までのブランドイメージから離れていっているとは言えるだろう。その行き先は「大衆化」。レベルの高い品質と、店に行けば美味しいコーヒーが飲めるという確たる信頼感がスタバの売りであり、ブランド力なのに、メディアの発するイメージはむしろ同業界のJunk(タリーズ・コーヒー館・シアトルやマックなども含めて)に自ら埋もれて行こうとしているように見える。
私の心理的な矛盾はそこにあるのだ。喉の渇きを満たすための缶コーヒーではなく、コーヒー・サービス・店の空気を含めて客は金を出し、スタバブランドを満喫しているのに、その「他とは違う」感が
広告媒体からは感じられない。読んでいて、「ナニコレ?」と思うことが往々にしてある。いくら中で働いているとはいえ、一年に満たないペーペーの私の感覚は限りなく一般ピープルに近い。そして私がそう感じるということは、この戦略の結果が良い、悪いに拘らず、少なくとも顧客のスターバックスに対するイメージを変化させていると言えるだろう。
もし、本社の広報が意図的にそれを変えようとしているのならある意味で非常に興味深い。これまで作り上げてきたブランド力を変えてしまいかねない一連の広報活動において、それほどまでに進路変更の必要に迫られているというのだろうか。もしくは、時代を先取るという視点で、素人には到底想像し得ないマーケティングのモデルを追いかけているのだろうか。
ここで私が言うことは、実際の広報の本質にかすりもしていない。あくまでも机上の議論なので、店に問い合わせたりしないように。まぁ「何のこと言ってるか意味がわかりませんが」といわれるのがオチだろう。あ、「そういった質問には答えることができません」と言われるかな。答えたくても、誰も真意は分からないから答えようがないって。
このまましばらくこの流れが続けば、私が気づかない部分でのブランド力の方向転換は成功しているのだろうし、失敗すれば来年はまた違ったアプローチを展開してくるだろう。
今後のスタバブランドをどう捉えるかは、一人一人がスタバから発信される媒体に直接触れて判断してほしい。そしてこの「ブランド変化」と捉える私の感覚が数ヶ月、数年後に客観的に評価できるようになったとき、パート2としてコメントを書くことにしよう。